政治献金の性格:政治資金規正法とは

政治献金は、慈善活動なのでしょうか?
・自民党に毎年24億円献金、経団連会長「何が問題なのか」と発言の報道にネットの怒り沸騰
https://www.chunichi.co.jp/article/817131


政治資金規正法によると、「国民による不断の監視と批判が必要なもの」であり、
一口に「慈善活動」や「社会貢献」とは言えなさそうです。

政治資金規正法について総務省によると以下のような説明がされています。
「公職の候補者により行われる政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするため、
(1)政治団体の届出
(2)政治団体に係る政治資金の収支の公開
(3)政治団体及び公職の候補者に係る政治資金の授受の規正
(4)その他の措置を講ずることにより、政治活動の公明と公正を確保し、もって民主政治の健全な発達に寄与すること
を目的としています。」

とはいえ、民主政治の健全な発達に寄与するために監視と批判が必要であったとしても、
政治献金自体は政治において必要であるのは間違いありません。
でなければ、政治献金自体を禁止することでしょう。
こういった政治献金などについては、海外ではどのようにみられているのでしょうか?

1.スポイルズシステム

スポイルズシステムは、「猟官制度」とも訳される制度で、アメリカで有名なシステムです。
アメリカ合衆国の大統領が、大統領選挙で勝った党派の者に連邦政府の官職をあたえる制度を指します。
日本では、こういった猟官運動というのはネガティブに取られますが、人の権力欲を批判し抑制しても逆効果となることがあり、健全な権力欲が社会をよくする原動力として、制度化されている側面もあるのです。
(アメリカ政治が健全であるかどうかはまた別の話)

さて、そんなスポイルズシステムですが、猟官運動が激しさを増して害が大きくなった際、ある程度の資格試験による官僚の任用が制度化されていきました。
こうして、だれもが自由に官職につくことができなくなり、一定の歯止めがつくようになりました。

2.ロビイストの存在

こうして、重要となってきたのがロビイストです。
アメリカで、政治的な要求を実現しようとする人たちは、ロビイストとして登録することで「大手を振って」ロビイングをするようになりました。
日本ではさしずめ「圧力団体」として議会説得活動を行うようなものです。
あくまでその個人または団体のロビイストが、「慈善活動」や「社会貢献」とのきれいごとを言うのではなく、堂々と「自らの政治信条、利益」のために献金を含めたロビイングを登録し行うようになりました。
民主主義である以上、政治家は票を入れてくれる国民のために権力を使うことからは完全には逃れられません。
健全な民主主義というのは、議論による説得を行うことであり、決着がつかない場合は殺し合いではなく選挙で決めるプロセスです。
そのため、自らの利益で動くロビイストの活動を透明化し、不正な影響を極力防止するために制定されています。

圧力団体が政治献金をすることは決して悪いことではありません。
不正な動きではなく、金額も含めてルールに従い公表されいる以上、
批判される謂れはないというのは、その通りかもしれません。

しかし、個人的信条として「献金は社会貢献」と考えることは自由ですが、
「自らの政治信条、利益」のためのロビイングという側面があることもまた事実なのです。