イスラエルとハマスどっちが正しい?―その前提にある「国際法」に迫る

イスラエルとハマスの紛争が激化し、民間人を巻き込みながら戦火が拡大しています。
中東は長年の歴史的な「しがらみ」もありながらも、日本にとっては遠い異国の地であるため、
本来はどちらにも偏らない立場で見えるはずです。

しかし、日本では「イスラエルとハマス、どちらが正しいのか?」という論争が盛り上がっています。

この疑問に国際法という学問的観点から回答ができます。
詳しくは、ページ下部の参考をご確認ください。

まず、国際法に対するよくある誤解として、
「暴力の前では、国際法は無力ではないか」という意見があります。
しかし、国際法は微力だけれども無力ではありません。
人類の理想としての法という側面はあり、確かにそれだけ言ったら無力かもしれないですが、
犯罪者に向かって法律を解いたって犯罪は無くなりません。
犯罪者に向かって「人を殺したら死刑になるかもしれないぞ」といったところで殺されることはあります。
では、その法律が無力かといえばそうではないはずです。

この議論は、明治21年に中江兆民先生が「三酔人経綸問答」という本で取り上げられてから、ずっと議論があり、
かなり高名な学者の先生も「国際法なんて力の前で無力だ」という人もいますが、
それに対する答えは「国際法は微力かもしれないけれど無力ではない」

実際、暴力の前で国際法を駆使して、効果を発揮した例は山ほどあります。

例えば、大日本帝国は満洲事変で中華民国に軍事的に百戦百勝しましたが、
中華民国による宣伝戦に完敗し、国際法違反のレッテルを貼られ、ついには滅びるところまで追い詰めらました。
これは極端な例ですが、国際法は微力だけれども無力ではないということを表しています。

さてでは、イスラエルとハマス、どちらが正しいのか?

これは、どちらか一方が正しいという問い掛け自体が誤りになります。
国際法は、どちらか一方だけに「正しい戦い方」を求めません。

例えば、自分が保護すべき住民を守る義務はその国の政府にあり、
そのため、現在防御側であるハマスの義務として、その病院が軍事施設でないことを立証する必要があります。
ハマスは国じゃないかもしれませんが、交戦団体である以上、また自身が政府であり国だと名乗ってる以上、
病院を攻撃されない為にも、ハマス側にその立証責任があります。

また、現在の攻撃側であるイスラエル側においても、原則として病院を攻撃してはいけません。
ただし、ハマス側が病院を軍事施設として利用し、また利用する疑いがあるのであれば、
攻撃したとしても、違法性または責任性が阻却される場合があり、議論の対象になります。

こういった話が国際法の議論であり、こうした話の中で、少しでも戦いの悲惨さを軽減するのが国際法の目的です。
もちろん、圧倒的な暴力を持った勝者の前には、国際法の議論は通用しない場合もあります。
しかし、結局「微力ではあるが無力ではない」国際法の冷静な議論が必要であり、
それは「どちらが正しいのか?」といった議論とは一線を画すものになります。

その他の国際法に基づいた解説は下記動画にて参照ください!

参考:悲報!池内恵先生SNSで「デマの流布・誹謗中傷」憲政史家倉山満【チャンネルくらら】
https://youtu.be/rvdunrUfcDI?si=tQvjp7eHT1t-xxSn