偽減税とは何ですか?その内容と理由について解説します。

最近、「偽減税」や「増税メガネ」という言葉を聞いたことはありますか?
2023年現在の岸田政権に対する批判の言葉です。
岸田首相は減税よりも給付をするような、平成以降に主流となった経済対策の方法を踏襲していましたが、
ウクライナ紛争などを原因とするインフレーション(物価の向上)や、国民負担率が約50%にもなる重税感を背景に、
所得税減税などを打ち出しました。
しかし、これが「偽減税」と批判を集めています。
何が「偽」なのでしょうか。

  1. 社会保険料の引き上げ
    岸田政権による「偽減税」の一つの要素は、社会保険料の引き上げです。
    社会保険料は労働者と雇用主が半分ずつ負担しており、所得税とは異なる仕組みです。
    「これは税ではなく社会保障だ」と考える人もいますが、憲法に保障されている財産権を「強制徴収」する点では同じ性質のものです。
    実際、海外では「給与明細税」などの名称が使われ、税金の一つだと認識されています。
    岸田政権下でも社会保険料の引き上げは決まっており、政府が社会保障負担を増やして「取り返す」ことで、
    国民にとっては結果として負担が増えることになるので、「偽減税」と呼ばれるのです。

  2. GX賦課金導入
    もう一つの要素は、GX賦課金(ふかきん)の導入です。
    GXとは「グリーントランスフォーメーション」の略称で、二酸化炭素などの排出抑制を目指して再生可能エネルギー中心の産業構造にする取り組みを指します。
    岸田政権下の2023年5月に「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律」が国会を通過しました。
    この時に、GX賦課金が導入されました。
    CO2を排出するような石油の元売りなどに対し、GX賦課金として2028年から「強制徴収」されることになります。
    いわゆる「炭素税」であり、事実上の税金です。
    また、この動きは事業者が電気代を上げて回収する動きに関わると考えられます。

  3. 防衛増税
    さらに、「偽減税」に関連する要素として、防衛増税も挙げられます。
    岸田政権にて安全保障上のリスクに対応するため、防衛費を43兆円に増やす決定をしました。
    この防衛費の財源として、法人税、所得税、たばこ税を増税し、9年度時点で1兆円を確保することが決定しています。

岸田政権では、所得税の減税を謳いつつも他の(事実上の税金も含めた)税金を増やしています。
所得税減税をしたとしても、結果として負担が増えるため、「偽減税」と呼ばれている理由です。

このような手法に対する国民の批判の声は多く、今も不満が増えています。
岸田政権がどのように課題に対処していくのか、今後の動きに注目が集まっています。

関連・参考:
・岸田政権は「増税していない」論を検証する 早稲田大学招聘研究員渡瀬裕哉 内藤陽介 斬り捨て御免【チャンネルくらら】
https://youtu.be/p-xz8jp6H58?si=Agoyoe4zE3_QuXNa