政党助成金が設計された本来の目的「近代政党」とは?

皆さんは近代政党という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
平成の政治改革の時代に頻繁に使われた言葉で、政党助成金が設計された本来の目的でもあります。

1.近代政党とは

近代政党とは、綱領(マニフェスト)、党員、議員を擁する政党のことです。
一見すると、普通の政党のことを指すように思われます。
実際、自由民主党もこの3つがあり、学者の中でも自民党が近代政党であると主張する人もいます。

しかし、自民党は近代政党ではないと断言するのが憲政史家の倉山満氏です。

同氏によると、近代政党の成り立ちは順番が大事であり、
まず理念としての綱領があり、そこに賛同した人が党員となって組織を作り、
国会議員を「選挙に受からせる」構図となります。
こうすることで、綱領を基にした政治、議論をする民主主義が保障されるのです。

2.前近代政党とは

その反対に前近代政党とは、
まず国会議員がおり、そこに独自の組織(後援会)が各議員にぶら下がり、
そういった議員が寄り集まって政党となっている実態を指します。
最初から議員は自力で組織を作って選挙に受かっており、またそうなることが期待されているため、党組織や理念(綱領)は軽視されがちになり、結局、理念(綱領)はただのお題目、スローガンとなり無視される傾向にあります。

一時期、日本では「公約、マニフェスト」という言葉がはやりましたが、
当たり前のように行われる公約破りで多くの日本人が政治に失望しました。
それもそのはず、前近代政党においては、議員がありきなので綱領は二の次参の次になる構図なのです。

3.政党制度の中で重要な役割を果たす

政党は、民主的な政治プロセスにおいて市民の意見を代表し、政府の政策に影響を与える役割を担っています。
また、政党は有権者に対して選択肢を提供し、政治的な意思決定に参加する機会を提供することも重要な役割となります。

そのために、政党助成金が設計され、議員個人に紐づくような政治や腐敗を防ごうとしたのですが、
政党助成金が一つの利権とかしてしまったという批判は後を絶ちません。
実際、近代政党という言葉が忘れ去られた以上、数十年たっても、そしてこれから何年たっても制度趣旨が達成されることは難しいのではないでしょうか。
本来の政治のあるべき姿とは何か、改めて問われる必要がありますね。